【まとめ】長野から世界を知る!~ノルウェーの若者の政治参加とジェンダー意識について聞いてみよう!~

日  時:2024年1月13日(土) 16:00~18:00

場  所:ながの若者スクエア「ふらっと♭」

参加人数 :25人(学生、個人、NPO、市民活動団体、市議会議員ほか)

主  催:市民協働サポートセンターまんまる(共催:長野市国際交流コーナー)

内  容:在ノルウェー日本大使館の専門調査員として2年間現地を見てきた平松愛子さんを迎えて、現地の若者の政治参加やジェンダー意識について聞きました。年代や国籍を超えて参加者がフラットに対話し、SDGsに関心を持つきっかけになりました。

■実は、変な大人?!大学進学を機に大阪から別府へ!研究の道を経て、長野移住。そしてノルウェーへ…!

ながの若者スクエア「ふらっと♭」、そして、学びの拠点「FourthPlace」の「変な大人の話を聞く会※」とのコラボ企画である今回の交流会。最初に平松さんのキャリアの歩みについて聞きました。

講師の平松愛子さん

大学進学を機に大阪から大分県別府市に移った平松さん。その進路は、平松さんの通う高校では珍しい選択だったそうです。

大学卒業後は、多くの友人が就職する中、「中東の民主化、イスラーム復興、女性の権利」などを研究するために大学院へ進みます。しかし、平日は朝から夜まで、土日も構わず研究室に通い詰める生活に次第に疑問を抱くようになり、ワークライフバランスを考えた末に語学講師に転向。さらに、「長く住むなら大都会より郊外か地方都市」という思いのもと、長野市への移住を決めます。実は、市民協働サポートセンター(長野県NPOセンター)のスタッフとして約2年間活躍していたのです。

そんな中、世界をコロナパンデミックが襲います。コロナ禍で日本と世界のニュースを見るうちに、「30代でも大臣や首相になれるのか!しかも女性やトランスジェンダーも沢山いる」「IT化が進んでいるおかげで、緊急事態宣言からの補助金給付が早い国、マスク不足を回避した国もあるらしい」「日本は30年間給料が横ばいなのに、北欧は一人当たりのGDPが世界トップクラスらしい」などの情報を知り、「北欧研究したい!よし、行ってみよう!!」と行動に移し、ノルウェーでの仕事を手にします。

※今の日本社会で一般的と言われている「進学→就職」といった規定路線ではない人生を歩んでいるちょっと面白い大人(=変な大人)の話を聞く会。その人生の選択にはどんな「わくわく」があるのかなどを聞きます。

小学生の参加者も!

 

■ノルウェーでの若者の政治参加は?

 ノルウェーの若者の政治参加率が日本よりも高いとのこと。しかし、国内では日本と同様に若者ほど投票率は下がるそうです。

ノルウェーでは「小学校からの民主主義・選挙教育」があり、授業を通じて選挙ブースへ見学に行ったり、学校やクラスで疑似投票をしたりします。

また、若者が出馬する際のハードルも日本より低いノルウェー。18歳で選挙権と被選挙権の両方を得るほか、出馬の際の供託金がないことも特徴です。

驚くことに、ノルウェーでは国政まで行かないと議員としての給料が出ないとのこと。地方議員は無報酬のため、本当に志のある人しかやれないし、ほとんどの人が仕事をしながら議員となっています。

 会場はながの若者スクエア「ふらっと♭」

■ ノルウェーのジェンダー政策

ノルウェーでは「民主主義=男女平等」という考え方なのだそう。クォータ(割り当て)制度を政府や各政党が導入していて、閣僚や党の指導部の男女比はおおよそ半々となっています。一方、日本では女性閣僚は、「子ども」「家庭」というジャンルでの登用が多い印象ですが、その傾向はノルウェーでも同様に見られるということでした。

また、父親の育児参加も当たり前で、約7割の男性が育児休暇を取得するというお話がありました。それを支えているのが社会の制度です。出産・育児休暇では、合計49週間までは給与の100%の支払いが保証されます。

政策の前提となる家庭モデルは「両親共働き」で、企業の定時は16時が一般的なんだそう。定時になると、母親か父親のどちらかが幼稚園に一目散に向かうそうです!

■世代や立場を超えたグループでディスカッション

後半は、5つのグループに分かれてディスカッションをしました。

まずは、「投票行ってる?」「投票権を得たら、何を基準に投票する?」「なぜ日本は投票率が低い?」などの問いをもとに、政治に関するディスカッション。投票に行っている人たちの投票基準は、「政策」「市民との身近さ」「年齢」「災害時などで味方になってくれそうか」「若い人、子どものことを考えてくれているか」「熱量」などの意見が聞かれました。一方で、「自分に直接影響があるように感じない」「選びたい人がいないから白票を投じる」「投票するのが少し面倒くさいと感じてしまう」といった声も。

また、外国から日本に帰化した参加者からは、「日本語を話せても政治の言葉は難しい」「漢字を読めない」「各国の言葉で説明文があれば嬉しい」など切実な声が上がりました。さらに外国籍の参加者からは、日本では外国籍住民に対して地方参政権が認められていない実情が語られました。

 

 後半はジェンダーについてのディスカッションです。「日本は男社会?」「どんな社会が理想?「理想の社会にするために何をすればいい?」について白熱した議論が繰り広げられました。

このテーマに関しては、若い世代は割と当たり前に「男女平等」を受け入れている一方、年齢が上がるほど従来の「男は仕事、女は家事育児」に囚われる傾向が垣間見られました。ある参加者は「どうしてお父さんが夕飯作らないの?」と子どもに聞かれたそうです。

若い世代からは「そもそもジェンダー平等って比較するものなの?それはどうなの?」「見える部分は男性でも支えているのは女性。定量的なところを目標にしていいのか?定性で見ればいいんじゃない?」「チャレンジするチャンスがあるかの視点が大事」など、本質に迫る意見がたくさん飛び出しました。

「結婚後に女性が姓を変えるのが当たり前でなくなれば」「男性だから、女性だからこうあるべきという考えをなくしていきたい」「性別に関係なく、個の特性を大切に考える」「まずは“旦那”や“主人”といった呼び方を“パートナー”などに変えることから始めてみては?」など、自分にできることをやってみようとする建設的な意見が出ました。

■参加者の感想

○平松さんの「人生の選択」にとても共感を覚えました。素敵な人生を歩まれているな、と。

○「男女平等=民主主義」それ位の意識を持たなければノルウェーの現状がないであろうし、日本のジェンダーギャップの低さもあたり前と感じた

○改めて我が国のジェンダーを考えさせられた

○小学校からの政治意識の醸成が大切だと感じた

○様々な年代の人と話をし、意見を聞いて楽しかった

○在日外国人の選挙の現状など、知らない現実を知り、とても楽しく有意義な時間だった

○投票率が上がる、投票のハードルが下がる取り組みをする必要性を感じた   など                       

                      

■もっと知りたかったこと

○ノルウェーのいじめに対する考え方や教育の質を上げるための取り組みを教えて欲しい

○ノルウェーの小・中学校で選挙について学んでいるのに若い人の投票率が高くないのはなぜ?主権者教育=投票率ではない?

○ジェンダーに対する差別的な感覚はいつから生まれるのか?

○ジェンダー平等とは何かをもっと深堀りしてみたい  など

                          

参加のみなさん、ありがとうございました!