【まとめ】NPOステップアップ講座 ~誰でもどこでもテレビ局~「番組づくりは地域づくり」

日時:2024年1月21日(土) 13:30~17:00
場所:もんぜんぷら座3階304会議室
講師:総務省地域情報化アドバイザー 岸本晃さん
(株式会社プリズム 代表取締役、東峰テレビ総合プロデューサー)
参加人数:セミナー参加39人 
主催:市民協働サポートセンター 共催:ながの協働ねっと

□内容□
 岸本晃さんの講演、質疑応答、長野市内で活動中のTV局の紹介
「番組づくりは地域づくり」とはどういうことか?
 誰もがスマホを使って撮影ができる時代、そして全世界へ発信できる時代。自分ができることで地域の良さを発信する住民ディレクターについて、岸本さんから学びます。


「住民ディレクター」という考えは、28年前熊本にいた際テレビ番組の制作を全部地域の住民で作ってみたらどうか?という発想から始めたものです。

 岸本さんの講演では、まずは東峰テレビの紹介ビデオから入りました。これをつくったのが岸本さん以外はおおむね素人というから驚きです。
 東峰村は、福岡県にあり2005年宝珠村と小石原村の二つの村が合併してできた村です。この広い村内15集落にある「山の神祭り」というお祭り。どれも同じものだろうと思っていましたが、取材してみると全部にお祭りおいて違いがあることが、住民自体が足を運んでみてわかったことです。
 また大河ドラマを利用して、大河の終了時間後内容をひも解く追走番組を放送。この2014年の大河ドラマ「軍師官兵衛」の番組をうまく使うことで、東峰村と村出身者のいるまちなかの交流が始まるきっかけにもなりました。
そして今度は「住民ディレクター」が女優の寺島しのぶさんをキャスティングしたドラマ番組になる機会が訪れ、地元住民が関わることで東峰テレビがどんどん発展していきました。

 2017年には発災した九州北部豪雨のドキュメンタリー番組の制作。被災の全体像を放送 NHKと共同で番組づくりもしました。
 東峰テレビのスタジオには民各社放、NHK各社も集まり東峰村の取材にあたることもありました。


 最初は被災状況を伝えることへの抵抗もあったが、悲しみに暮れるのではなくすぐにでも動いて映像で地域の現状を知らせることが大事だと村内を回っていき、そうすると住民の反応も変わって、お互いの住民を気遣いみんなで頑張ろうという気持ちに変わっていきました。
 こうやって番組を通して、住民同士の交流が広がっていくことが住民ディレクターの面白さでもあり、地域づくりにつながっていくのだと感じることができます。
 住民ディレクターを育成するうえで、岸本さんが言いたいことは、とにかく「ひと」が大事だということ。テレビをつくるのには、機材は二の次ということです。

■施設の紹介
東峰テレビ(1階)とテレワークテラス宝珠(2階)
 1階は村営 2階は県営、そして総務省の地域情報化アドバイザーである岸本さんは、国のDX拠点としてドローンの授業やVRも行っているため、一つの施設の中に村県国が混在する面白い場所です。
 ここでは右も左もわからない人たちがどうやって技術を身に着けて、地域づくりにつながるのか?交わって新しい発想ができるかを期待しているそうです。村民はアナログ人間ばかりだけど、魅力を感じて集まってきます。そしてテレビ局は地域づくりの拠点にテレビ局はなっていきます。

■番組紹介
 村民みんなでつくるTV「ふらっと九州☆東峰村」
 この番組づくりには全国にいるプロの住民ディレクター仲間が集結。
 この方々にお手伝いをしてもらいながら、地域住民でつくっていくのが番組となる。全国唯一の本格地域おこし番組として、「企画は村民」「技術はプロ」といたつながりで、これが全国の地域との関係人口にもつながっていきます。

 これらの番組や施設を運営する中で、「村の中からの発信ではなく、外から出身者など縁のある人たちが来て語ったりしながら、自然と地域にいる人たちとつながっていくことが起こる。」と岸本さんは話します。これは番組づくりが目的ではなく地域づくりを目的にやっているからこその結果なのだといいます。
 そして自分たちが課題に思っていることを番組にすることで、解決策がいろいろな人から聞くことができること。自ら行政など県との関係をつくって解決につなげる力をつけているそうです。

 番組づくりに参加することで自分の世界が広がっていく。
 これが今回のタイトルでもある、「番組づくりは地域づくり」につながっていく所以だそうです。

■講義終了後質疑応答
「素人の住民をどうやって番組を作りたいという気持ちに鼓舞させますか?」
 岸本さん→
 まずは放っておくことが大切。そしてオンエア中ということは黙って(だまして)番組に誘い込むみながら、その人が自然体でやれそうなことを探してそのままの状態で番組にしていくのだそうです。住民ディレクターのいいところは、やり直しがなく失敗がないというところ。教えずに自分でやってみると思わせることが重要です。

「最初の勢いを継続していくヒントがあったら教えてください。」
 岸本さん→
 人生を楽しくするためにクリエイティブなことを続けていくしかないと思います。それは東峰村では、村の課題にチャレンジしていくこと。そしてそこにそれぞれ人の集まり方があるので、集まった人たちが好きなことを見つけるまでやってもらう。例えば鉄道テーマでは鉄ちゃんが集まるなど、それぞれのテーマで自分たちが楽しんで集まれることで、新しい風になっていくのです。決して押しつけでははダメだということです。

 岸本さんは、「テレビはいろいろおもしろい仕掛けがあります。自分が楽しめる場所があるはずなので探してみてください」と締めくくりました。

■長野市内テレビ局の紹介
① 「松代テレビ局」
現在は10名程度が関わって制作。松代のまち歩きセンターに開設。
しゃべくり松代がきっかけで始まり、先日700回を迎えた。
今の松代を伝え、地域の福祉を推進していく番組。無理なく使いやすい手段で作っている。

② 「大岡えんがわTV」
2016年に岸本さんを招いて市ボランティアセンター共催で講座を開催。地域の人に地域を伝えるという考えから始まった。
現在は5人が活動。今年成人する当時中学生と一緒につくった番組が好評だった。

③ 「ながのTV」
ボランティア団体や地域の魅力を発信するインターネットTV 。来年10周年!毎年8月のブラナガノでは、高校生に入ってもらって地域の良さを伝えている。
ゲストが変わって違う話が出てくる。事前に聞いた話を組み立て本番に入るが1時間を超えることも!

④ 「長沼アップル放送局」
住民の皆さんに、そして災害支援に来た全国7万人の人へ長沼の今を伝える。
もし災害が発生した時に、伝えるためのコンテンツもそろえている。
2022年12月放送開始。現在の課題は、住民ディレクターを募集中。技術者募集中。

⑤ 「ナガクル」https://nagacle.net/
長野県NPOセンターが2017年に立ち上げたポータルサイト。
一般の人がNPOを知り行動に移してほしいという願いを込めている。
そしてソーシャルライターの育成にもつなげるため社会問題を調べ取材し執筆している。