NPOカフェまんまる「生命(いのち)の安全教育が始まる前に」を開催しました。

 

 8月8日、市民協働サポートセンターが開催する、「生命(いのち)の安全教育」について考える交流会に、NPOや教育・行政・医療関係者、未就園児から高校生の子をもつ保護者など25人(オンライン含む)が集まりました。日頃から性教育には関心があるが、具体的に何が自分にできるのかわからない、教育現場でどう生かせるか、家庭で子どもたちにどう伝えたらいいのか、父親ができることは何かなどと、参加した理由はさまざま。「生命(いのち)の安全教育」の中身を知り、子どもたちが分の身を守り、生きる力をつけ、自立を目指すための「性教育」になるために、大人にできること、支援側ができることを考えます。

さて、どんな意見が出たのでしょうか?

 

 

第一部「生命の安全教育ってなに?」

そもそも、「生命の安全教育」とはどのような内容なのでしょうか?講師の白澤章子さんは、この教育が指導モデルに下りてくるまでの経緯を丁寧に説明しながら、我が国の性教育への意識や関心は少しずつ高まっていることを伝えました。しかしながら、

実際に教育現場で実施予定である生命の安全教育については、「これをしてはいけないという禁止教育になっている」と指摘し、本当の意味での「生教育」にしていく必要性を伝えました。「プライベートゾーンを触られてはいけないと教えてこられてきた子が、もし自分が触られてしまったとき、自分を責めて相談できなくなってしまう可能性がある」「からだを大事にするってどういうことだと思う?」と、参加者に投げかけながら話を進めていきました。参加者からは「性の知識をまずは大人がちゃんともっていないと」「食べる・寝る・出すという生きるために必要なことを保障する大切さを知った」などという意見が出ました。

第二部 グループワーク「本当に子どもにとっていいものにするには」

 後半はグループに分かれてワーク。「ここまでの感想」「自分の立場でできること」「教育機関に期待すること」と3つのテーマについて意見を出し合いました。

・自分の職場には発達に偏りがあるお子さんがいる。子どもの距離感に悩んでいる。どのように指導していったらよいのか。(プライベートパーツ、プライベートゾーンの学びが有効です。「手の長さ以内に入ってはいけない」と言う禁止教育では実感できません。自分のからだを使って自分のプライベートゾーンを感じる方法があります。)

・日本の社会の雰囲気として、性=悪いもののイメージがあるが、性教育は人権教育。

・禁止教育はやめていきたい。

・プライベートゾーンの話が腑に落ちた。

今までは「水着で隠れる場所と口」と子どもに伝えていたが、これからは「自分が大切に思う場所すべて」と子どもに伝えたい。

・参加者に男性がほとんどいないのはなぜ?

・色んな立場の人と会話できるこの機会はとてもよかった。

・ワークショップが良かった!

「自分の立場でできること」

・父として生きることを説明。

・くすりやさんの保健室で参入。

・親子間で性について話しやすくなるような機会をつくりたい

・性に関してゆる~く話すことができる機会

・看護師として何かできないか…(きっとできますね)

・二児の母として、親を含めた家庭の性教育が必要

→周りのママたちに伝える。

(廻りに伝えていくことから生の学びが広がります)

・学校の授業でやった内容が保護者に伝わってこない。共有できれば話もできるのに。(白澤さん:是非学校へ伝えましょう)

・学校に白澤さんをはじめ、NPOなどで授業をできる方に入っていただくことはできないのかな?(白澤さん:現在も学校からの依頼があり、キャラバン隊と称して出向いています。キャラバン隊は長野県内に散らばって9人います)。

「教育機関に期待すること」

・地域や家庭につないでいく方法を作ってほしい。(白澤さん:公民館活動の中で講演をしてくださいとの依頼もあります)。

・学校の授業で産婦人科の先生の説明・授業を実施したらどうか。

・女子トイレに生理用品を設置してほしい。(白澤さん:学校の予算が少ないのが実状です)

・子どもたちに性の大切さをしっかり学ばせてほしい。特に男の子に。

・保険体育の授業のみの指導ではなく、日常的で身近なものにするということ、それを通して性について考え理解しやすくすることを期待します。

・学校で抱えない。→外に頼る。

・このような内容をまずは大人が知ること、

・北欧の方では絵本を活用していると聞いた。日本でも言いにくいことも絵本を使って説明したりしたらどうか?

・「違いを認め合える」生きづらさを抱えた人との場など、性を超えたところでもキーワードに。

・予期せぬ妊娠やシングルマザーの苦悩など、性教育が不足しているからゆえにできていまっている問題に目を向けるべき。その必要性をアップデートできたらいい。

・知的障害を持つ人に対してもきちんと丁寧に聞いていきたい。

・職場でまだまだ知識不足の大人たちに広める!(できる人から始めましょう)。

★まとめ

 今回の交流会は、参加者同士意見が多く飛び交い、関心の高さが伺えました。個人ができることはもちろん、企業としてもその特性を生かしてできそうなこと、協働の可能性を探ってつながっていく姿もありました。「性教育」は学校だけのものだと思っていませんか?そして女性のものと思っていませんか?さまざまな人や団体が関わっていくことで「性教育を生きるための教育」にすることができ、それは私たち大人にとっても、とても大切な教育になっていくと思います。今後自分たちがどう展開していくのか、踏み出すきっかけになったようです。