地域まんまる「地域の草刈りどうしてる?」レポート

2021年度最後の大きなイベントとなった地域まんまる「地域の草刈りどうしてる?」の
レポートをお届けします!!

日  時:2022年3月14日(月)
場  所:中条交流センター
参加人数:47人(住民自治協議会、企業、福祉施設、行政職員、地域おこし協力隊、個人他)

内  容:「たかが草刈り、されど草刈り、草刈なめんな!!奥が深いぞっ!!」
地域の課題の一つ、「草刈り」についての意見交換会。現状を改めて確認し、
     それぞれの地域での取り組みを共有、新たな解決策を探る。

■当日レポート■

■アイスブレイクを兼ねてのワークショップ 「そもそもなぜ草刈りをするのか?」
<出された意見>
・安全のため
・畑の作物を守るため(有害鳥獣の問題?害虫の発生)
・景観が悪くなる
・環境保全のため
・ゴミの不法投棄につながる
・防災のため
・そこに住んでいるという証
※必要があってやっているという認識が圧倒的多数

冒頭から盛り上がる参加者のみなさん「あれ?草刈りやめてもいいのか?」という声も

■情報提供
●「市道の草刈りについての現状」 長野市建設部道路維持課(出席なし。紙ベースでの提供)
●「草刈の現状と歴史的考察」 芋井地区住民自治協議会地域活性化推進員 羽田一郎さん
●「住民主体のしくみ構築と現状について」 長沼ワークライフ・組合 西澤清文さん

「芋井地区の現状と歴史的考察」
 現在は早朝に住民が参加して道路の草刈りを行っているが、県道が26Km、市道が59Kmそれぞれを年に5~6回やることになる。トータルで2566Km、延べ1968人が参加している。しかし、地域は高齢化で人口も減少し、担い手不足が予想される。10年後、住民の半分ができなくなると思われると話した。
 昔は「草」は重要な肥料であり、ススキはかやぶき屋根の材料として大事な資源だった。道路わきの草も所有者のもので、勝手に刈るともめ事になったという。しかし、時代がかわってこれらが資源ではなくなってしまった。
 また、昔は道普請といって道路の整備は共同で実施していた。そうでないと暮らせなかった。その場が地域の交流の場でもあった。しかし、車社会の台頭で必要とされなくなった。
これからは、人口減少による空き家問題なども移住や関係人口と結びつけ、草にも新たな価値を見出すことが必要と羽田さん。草刈りバスターズのような組織化で地域の現状を打破できないか考えていると発表した。

ワーク・ライフ組合西澤さん
芋井地区地域活性化推進員の羽田さん

「住民主体のしくみ構築と現状について」
長沼地区は、2019年の台風19号で千曲川の堤防が決壊、地区全体が水害に遭った。実は、その前から地域では草刈りについての問題は語られていた。被災したことによってクローズアップされた。被災して遠方に避難したり、公費解体で土地が更地になったりしてますます問題が深刻化していたが、地区の会議で、地域の農家から長沼の耕作放棄地が増えることを食い止めたいと発信があり、県社会福祉協議会からも農福連携を進めているが将来的には住民が主体となってやっていくことが必要と言われた。
そして、草刈りは永遠に続くもので、将来的に継続できる仕組みが必要、農業公社などとの連携でこれを仕事にできないか?と議論が始まり、何度も議論し2021年4月に発足した。

             ★ワークライフ組合のしくみは?★

 対象は、行政や住民自治協議会、個人などの手が行き届かない部分に限定。耕作放棄地から遊休農地へ転換し、農地の貸し手と借り手をコーディネートできるようにした。お願い会員が43人、おたすけ会員23人、おうえん会員(寄付のみ)18人となり、リピート率も63%。住民からは感謝の声もあって手ごたえは感じている。
 一方課題もある。単価の設定が安く苦しい状況。今後も財政を安定させることができるか?を考えなければならない。住民自身が議論を重ね、自分たちの地域は自分たちで
守って行こうと奮闘する様子が使わる発表だった。

■意見交換
テーマ①「今草刈りができていない、辛いのはなぜか?その原因は何?」
     ・・・人員、人材、技術、お金の問題なのか?

 冒頭のアイスブレイクでの答えから、やはり地域で必要だから草刈しているということがわかっている。では、必要なのにできていない現状は何に起因しているのか?今後できなくなるのでは?という不安感、負担感はどこからきているのか?を考えた。

・ 人がいない(高齢化、人口減少)→若手が山を街場に出てしまって技術が伝承されていない
・ 危険が伴う作業なので誰でも・・というわけにもいかない
・ 担い手を固定的に考えている→女性でもできるのに!!という声もあがった
・ 住民が地域に対しして無関心→やらされ感、なぜ困るのかがわかっていない、誰かがやってく  れると思っている=自分ごとになっていない
・ 助け合う気持ちが生まれるようなコミュニケーションが不足
・ 費用がかかる
・ 刈った草の使い道がない→ヤギやうさぎを飼う?

・・・テーマ①の段階ですでにアイデアが飛び出したグループも? それを受けて

テーマ②「新たなアイデア出し」
     ・・・ICTの活用、関係人口との併せ技、イベント化、企業との協働、地域の施設と

        の連携などを出し合った

 必要か必要じゃないかをまず問いかけてみる、一度やめてみる
 草刈りに付加価値を!!
→農業体験×草刈り、アグリカルチャートレーニングと称してスポーツにするなど
 草刈りのビジネスモデルの構築・・・草刈りで金を稼ぐ!!
→「アクティビティにする」草刈り×ダイエット&健康増進としてイベント化。企業と組んでイベントに“草刈り中”“草刈りラリー”。草刈りスクール、草刈りガールなどおしゃれに、重機女子の次はビーバー女子!! 草刈り×宝さがしも
→「刈った草を商品に」枕にする、ハイジのベッドにして売り出す。遊具にならないか?コンクリートに混ぜて使えないか?
 関係人口など人を呼び込むツールに
→〇〇体験、安全講習会+お土産付き
 人材育成ために学生対象の草刈りバイトを募集し、将来の担い手に
 企業との協働。SDGsに絡めると企業の取り組みとマッチングできるかも?
 行政との協働も必要。資金面での応援をしてもらう
 草刈りの機械化DX化
 景観税を作って草刈りしていない土地の持ち主からお金をとる 

■今後について■
 当初2月10日ふれあい福祉センターでの開催予定だったが、延期や場所の変更があった中でも47人が参加し、非常に関心の高い話題だったことがわかる。
 参加者は積極的に意見交換に参加。それぞれの地区での現状や取り組んでいることも共有した。今回の参加者は圧倒的に男性が多かったが、女性から「女は草刈は無理だ」と言われたが、そんなことはないはずという意見も飛び出し、これまで担い手として考えて来なかった人たちの存在に気付いた人も多かったのではないか。慣習にとらわれない視点が必要と感じた。また、企業からは地域にお金が回るようなアイデアを、何でも無償でやるという発想は良くないという意見も聞かれた。
 たかが草刈り、されど草刈り、目に見えるのは「草刈りが大変」という事柄ではあるが、実はそこには、高齢化や過疎化、農業や林業の衰退などさまざまな課題が絡み合っていることが今回分かった。交流会の中で紹介した長野市農業委員会の青木保さんの言葉を借りれば「今こそ考え方を変える時」であり、一つの事柄だけを考えてもうまくいかないとすれば、他の課題やさまざまな地域内外の資源を結んで解決の糸口を見つけていくことが必要と改めて確認した。
 最後のまとめでは、西澤さんから「今回で終わらせず、次回に続けよう。今日出たアイデアの実現に向けてどんなふうに動いたかを共有しよう」と提案があり、今後次回に向けての検討をしていく。